気象病は漢方医学で解決
漢方薬店kampo’s代表薬剤師山口りりこです。
東京は、2月にして20度を超える日があるかと思えば、雪が降ったり。気温だけでも短期間で大きく異なります。
そんな中、多くなっているお悩みが「春の不調」
毎年暖かさを感じる3月中旬以降に増えるのですが、2月にして早くも不調を耳にします。症状は、めまい・頭痛・疲れ・だるさ・胃腸が動かないような体感・憂鬱・イライラなど。
明らかに、急激な気温差・気圧差が原因していると思われます。このように気温、気圧、湿度などの変動によって起こる不調を気象病と言います。
病院に行って解決しづらいお悩みこそ、漢方の力を。ここでは漢方的原因と、いくつか養生法をお伝えします。
気象病はストレスが原因
ストレスと聞くと、精神的に嫌なことと考えがちです。
私は普段、お客様のご体調・体質を伺い、漢方薬を用いて体質改善をするお手伝いをしています。
その際に「ストレスを感じますか?」と聞くと、「好きな仕事をしているし、ストレスはありません。」と答える方が少なくありません。しかし、ストレスはそれだけではないのです。
厚生労働省(e-ヘルスネット)によると、ストレスとは外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと、と書かれております。この一文の後に、より詳細に書かれてあるので一部抜粋します。
ストレスの原因となる外的刺激をストレッサーといい、これを含めてストレスと表現されることもあります。ストレッサーには、暑さ寒さや有害物質など物理的・化学的なもの、病気や飢え・睡眠不足などの生理的なもの、職場や家庭における不安・緊張・恐怖・怒りなど心理的・社会的なものなどがあります。人間では特に心理的・社会的ストレスが大きいとされています。参照:厚生労働省(e-ヘルスネット)
最も多いのは心理的ストレスでも、気候や睡眠不足もストレスの原因となる、ということ。みなさま、心当たりありませんか?
ストレスと「気」の関係
漢方でストレスをどう捉えるか、というと気を停滞させる原因と考えます。「気」は漢方医学ではとても重要な概念です。元気、やる気だけでなくいくつかの役割を担います。
例えば、免疫力。身体を守り最前線で戦う力も気の力。他にも、体温調節や代謝機能なども担います。
身体の構成成分は気・血・水の3つで、これらが充実し巡りが良い状態を健康だと考えます。
体内で最も重要な「気」の巡りを妨げてしまうのがストレスです。呼吸が浅い状態も症状の一つ。集中しすぎている時、忙しい時、緊張時、猫背の時に起こりやすい。今、この記事を読んでいるときにも呼吸浅くなっていませんか?
一度、上を向き深呼吸して続きを読んでください(^^)
ストレスは「肝」に負担
漢方では身体の機能を、肝・心・脾・肺・腎の5つに分けます。その中の「肝」は、全身の気を巡らせ、精神を安定させる「疏泄(そせつ)」機能があります。ストレスは気を停滞させるため、肝の疏泄機能を弱らせ、負担になってしまうのです。
肝は、自律神経をコントロールしている、と思っていただければokです!
気は体内で隅々まで止まることなく循環しているのが良い状態ですが、停滞するといろんな症状が現れます。
めまい、頭痛、ゲップ、逆流性食道炎、イライラ:気が上逆している状態
体重は増えてないのに、太ったように感じる方がいます。脂肪がついたわけでなく、気が膨張して実際に洋服がきつく感じるわけです。意外にも、臨床では結構多い症状なんですよ。
首を緩めてストレスケア
さて、簡単にできるストレス解消方法をお伝えしていきましょう。「気」と言われても目には見えないので、筋肉から緩めて気の通り道を作っていきましょう!
kampo lab鍼灸師の山口藍子先生に教えてもらいました。(写真は私)
藍子:「首は身体と脳を繋げるための出入り口です。そのため自律神経(交感神経・副交感神経)が密集している。経穴的にみても気が出入りするツボが多いんです。首周りが硬いと自律神経系に影響が出やすいため、緩めて柔らかくしましょう!ストレッチは、呼吸をしっかりして、“ゆっくりと”おこなうことが大切です。1回だけでなく数回してみてくださいね」
❶
鎖骨にそっと両手を添えて、首を後ろにストレッチ!
❷
手を後頭部に添えて、首を前にストレッチ!
この時、余裕があれば首から背中を丸めていくようにやってみてください(お腹は凹ませる)
❸
右手を左側頭部に添えて、首を右にストレッチ!(固定)
左肩を上げて下に引っ張るようにしてさらに首にストレッチかけます
反対側も同様にしてみましょう!
気象病に取り入れたい薬膳食材
春に良い巡らせ食材は、苦味食材と香り食材。
はぁ〜、良い香り。となるような感覚のものがおすすめです。食べなくても、アロマオイルなど香りだけ楽しんでも良いでしょう。
胃腸が動かないような、消化不良の症状が顕著にある方は、大根・かぶ・キャベツを意識的に食べてみてください。特にお肉類、油物など消化に負担のかかるときには、大根おろしやキャベツの千切りなど一緒にとるように心がけましょう。
現代人は摂りすぎ病
最後に、、ほとんどの病気は、食べ過ぎ飲み過ぎによるものだと言っても過言じゃないと思います。
胃腸を休めること。抜く養生もとても大切。
疲れているから、頑張ってご飯を食べよう!という声もいまだに聞きます。ダイエットが一生のテーマという人が多いのに、なんのための脂肪か?溜め込んでばかりでは胃腸も疲れてしまう。
夕食を消化に良いスープにしたり、ときにはスキップしたり。
時間になったから食べるのではなく、胃腸の状態を意識して、心身スッキリお過ごしください♪