漢方とは

漢方とは

初めまして。
漢方mediaプロデューサー山口りりこです。
私は約10年前に「漢方」に出会い世界が変わりました。
身体を中心に自然との関わりや思考、色々なものがリンクしていくような感覚でした。
しかし漢方の歴史は人の人生に比べてあまりに長く、一生かけて学び実践していこう、とも思います。
まだまだ日も浅く未熟ではありますが、漢方の魅力をたくさんお伝えできればと思います。
そして漢方mediaの読者様、関わってくださる皆さまと一緒に、健康の輪を広げていきたいです。
日々成長するmediaとなるよう努めて参りますので、ご意見やご要望などあれば、是非お気軽にご連絡ください。
末長くお付き合いの程、どうぞよろしくお願いいたします。

2021.12.01
山口りりこ

【漢方media:漢方とは】

東洋の伝統医学にはさまざまあります。

2000年以上前の古代中国で生まれた中医学。

それが日本に伝わり、独自の発展を遂げた日本漢方、韓国においては韓方。
それぞれの国で伝統医学が存在しています。
歴史が長い分、多くの理論や考え方が派生しています。

一般的には漢方とは
広い意味では漢方薬・薬膳・鍼灸・気功などの治療方法を含めた医学のことを言い、
狭い意味では漢方薬と捉えられます。

しかし漢方mediaでは、上記にとらわれず
現代に生きる私たちが心身健康に生きるための方法をお伝えしていこうと思います。

それは漢方薬や薬膳だけでなく
ホロスコープやマイクロバイオーム(腸内細菌など共に生きる微生物)
化粧品や農業など
身体に関わる幅広い知識が必要だと思うからです。

しかし漢方の醍醐味である、3つの良き特徴は共通とさせていただきます。

 

【漢方の特徴】

バランス重視

漢方の得意なところは
全体をみて体質改善や体調を整える
ことがまず第一に挙げられます。

こう言われるには理由があります。
漢方では臓器や精神を切り離して考えないのです。
それぞれの身体の機能は相互に助け合い、抑制しあって全身で成り立つと考えます。

健康な状態でもそうですが
病気も相互に影響する、と考えます。

1つよくなれば自然と他もよくなったり、
逆に1つ病状が出てくると他にも及んでしまいます。

また、心も同様です。
心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。

心と体は一つという意味です。
心が病んでくると、肉体的にも症状が現れます。

ストレス性の胃腸炎などはまさにその例。
逆に、肉体が健康であると
心も元気を保ちやすいのです。

もう少し視野を広げると、自然界との関係もそうです。
人も自然界の中に生きていて、その一部であると考えます。

夏の暑い時には熱がこもりやすく、冬の寒い時には冷えやすくなる
など、季節の影響を受けます。

また、空気が乾燥していれば皮膚や体内も乾燥するように
環境や気候なども関係しながら成り立っているのです。

こういったバランス重視の考え方を
整体観(せいたいかん)」と呼びます。

 

一人一人にあわせた治法

漢方では、同じ病名でも人によって異なる治療方法をとることはよくあります。

例えば頭痛。
ある人はストレスが原因で、気の巡りが悪くなり頭痛に。
ある人は冷えが原因で、血流が悪くなり頭痛に。

このお二方は頭が痛いという同じ状態でも
原因や体質が異なるため、治療方法が異なってくるのです。

表面的にあらわれている症状をよくすることを標治(ひょうち)
根本原因を治療することを本治(ほんち)と言います。

この場合は頭の痛みを止める(標治)だけでなく
ストレスや冷えを軽減する(本治)を一緒にしていくことができます。

もし、冷えの頭痛の方が月経痛や肌荒れなど他の症状が出ているとします。

元をたどれば一つの原因(冷え)から派生している可能性も高いため、
本治を行うことで不快な症状の一改善や、新たな病気を予防することができるのです。

原因や体質を知ることを弁証(べんしょう)といい
治療方法を考え治すこと論治(ろんち)と言います。

弁証論治(べんしょうろんち)により
一人一人に合わせた治療を行うことができます。

 

予防医学

漢方はなんとなくの不調、検査をしても異常とは言えない状態(未病みびょう)にアプローチすることができます。

例えば、疲れや冷え。
よっぽどでない限り、病気を疑って病院にいくことは選択しないと思います。
しかし
大きな病気の前には必ず身体はサインを出してくれます。

昔の中国の医者はランク分けされており
病気を未然に防ぐ医者がもっとも位が高いとされていました。

今と違って画期的な治療方法がなかったことも要因だとは思いますが
今でも共通して言えるのは
病気にならない方が私たちにとってはありがたいですよね。

それには身体の状態を把握する必要があります。

自分自身に興味を持って
「冷えていないか?疲れはとれているか?睡眠の質はいいか?」
など身体からのサインをキャッチする力が大切です。

小さな症状(未病)から病気にならないようにし
自然治癒力を高めることで、健康を保つことができます。

病気になる前(未病)に、先に体質と向き合いながら予防することを
未病先防(みびょうせんぼう)と言います。

 

【漢方の歴史】

・中国最古の医学書

中医学には3000年の歴史があるとも言われますが
現存する最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」が2000年ほど前に記されていることがわかっています。

陰陽五行説という理論を元に生理学、病理学、養生法、治療方法などが書かれた
知識の集大成です。

日本でいうと弥生時代の出来事ですが
古いと思って侮るなかれ!

今でもその理論は存分に生かされ漢方、鍼灸、薬膳などの治療使われています。

「女性は7の倍数で、男性は8の倍数で身体が変化する」

という内容を聞いたことはありますか?
これは黄帝内経に書かれていることで、今もこの年齢による変化は変わらず意識され続けているのです。

 

・漢方薬の原点

現代で使われる漢方薬の原点は
傷寒論(しょうかんろん)」と「金匱要略(きんきようりゃく)」という古典です。
約1800年前にまとめられています。

漢方薬で最も有名なのは葛根湯(かっこんとう)だと思うのですが、
それは傷寒論に書かれており
1800年前から使われている漢方薬が現代でも使われ続けているのです。

漢方薬はエビデンスがない、などと言われることもあるのですが
一方で1800年の臨床実績のある多くの経験に基づく医学なのです。

 

・日本での漢方

日本に伝わってきたのは西暦400年頃で
その後、遣隋使や遣唐使を通じて中医学が輸入されています。
しかし当時は貴族にしか使われなかったことからも、根付いたのは16世紀以降のこと。

徳川家康が健康オタクであったのは有名な話で
薬草園を作り、調剤したとも知られています。

戦国大名と健康。
なんだか似つかわしくないように感じますが、強い精神力は健康あってのものかもしれません。

 

・世界初!全身麻酔を使っての乳がん摘出手術

江戸時代で手術って、想像し難いかもしれません。
しかし世界初の全身麻酔でも手術に成功したのは1804年。

華岡青洲(はなおかせいしゅう)が通仙散という経口麻酔薬を開発し
自身の母と妻と一緒に乳がん摘出手術を成し遂げました。

西洋医学と漢方医学。
両者を学び、研究を重ねた成果ですが、
これには大きな犠牲も伴い、今の医学は多くの献身的な医療従事者による賜物だと実感させられます。

 

・漢方の衰退

「漢方」と聞くと、ほとんどの方が中国のイメージだと答えられます。
日本の伝統医学である、という認識はほぼ皆無です。
しかしそれには歴史的背景があり、仕方のないことでもあります。

時代は明治。

富国強兵を急ぐ政府は、外科や公衆衛生に優れた全員に使える医学(=西洋医学)を推し進めました。

戦争には集団に使える医学が必須で
個人の体質をみていく漢方はどう考えても不向きです。

政府は明治7年に医師を免許制にするにあたり、西洋医学習得を絶対条件とし
漢方医学は試験内容に採用しなかったのです。

漢方医学だけでは医師にはなれないため、徐々に廃れていきます。
この風潮は戦後まで続くため、漢方医学が忘れ去られた医学になってしまったのです。

 

・現代にこそ必要な漢方

現代の病気のほとんどは、戦時中のケガや感染症などと違い、
生活習慣やストレスなど個によった原因が多くを占めます。

また意識も徐々に変わり、ただ寿命を延ばすことよりも
健康に生きる期間(健康寿命)を延ばす予防医学に近い発想に変わりつつあると感じます。

西洋医学の発展があるからこそ、日常生活で生命の危機を感じることも少なく
予防医学に目が向けられるようになったんだと思います。

もともと中国では皇帝医学として用いられてきました。
皇帝は唯一無二の存在であり、健康が必須です。

また求められるのは、子孫繁栄長寿、美しく生きたい(エイジングケア)ということ。

個人個人をみて生活から整えていく漢方は
まさに今こそ必要で生かされるのではないか、と思うのです。

漢方のエッセンスを日常に、健康で美しく彩のある日々を過ごしませんか。

この記事を書いた人

山口りりこ

株式会社kampo lab代表取締役
薬剤師・国際中医師・国際薬膳管理師
漢方・薬膳の魅力を多くの方に伝えるべく2015年に独立、2020年に株式会社kampo labの設立に至ります。
漢方薬店kampo'sを運営し、漢方相談、薬膳相談、薬膳商品プロデュース、企業の漢方薬膳監修などをさせていただいております。
大好きな漢方の魅力を多くの方に伝えていけるよう励みます!
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2000年以上前の古代中国で生まれた中医学。 それが日本に伝わり、
独自の発展を遂げた日本漢方、韓国においては韓方。
それぞれの国で伝統医学が存在しています。 歴史が長い分、
多くの理論や考え方が派生しています。

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