「代表取締役 山口りりこ 挨拶」
「ヒトも地球もみんなが健康であってほしい」
この想いを大切に、会社運営をしています。
「健康」とは「病気でない」状態ではなく、心身が満たされ幸せな状態だと考えます。
より広い視野を持ち、自分自身・お客様・家族・友人・会社・地域・国・地球へと健康の和を広げて、
優しく共存できる事業を目指します。
私が薬剤師を目指したのは、「健康であることが美容にもつながり、さらには生きる希望にもつながる」と考えたからです。
特に、女性は美しくあり続けたいと願っている方も多いです。
ただ、その美しさも健康があってこそのものです。
だからこそ、美容も内側からトータル的に考えられる薬剤師に魅力を感じていました。
また、そこでもっとも必要になってくるのは「食」だと感じていました。
そのため、就職活動はサプリメントなど幅広く取り扱っている食品会社や化粧品会社を中心におこなっていました。
そんなとき、インターネット検索で見つけたのが漢方専門の会社「薬日本堂」でした。
漢方薬局というと古臭いイメージがあるかと思うのですが、薬日本堂はデパートに入っているブランドのような
佇まいでサプリメントやお菓子、コラーゲンドリンク、化粧品、アロマオイルなど多岐にわたる商品を取り扱っており、
興味を惹かれました。
ですが、もっとも魅力を感じたのは漢方薬局ならではの体質改善や予防医学の概念そのものでした。
「身体を部分的に見るのではなく、トータルで見て、少しの不調が大きくならないようにケアする」
……この概念は私の中にあったぼんやりとした理想をまさに体現したものだったので、説明会に行った時点で
「ここに入社しよう!」と心が決まりました。
大学時代には漢方や生薬学に特別な興味を持っていなかったので、友人や家族にも驚かれました。
2012年から2015年まで勤めた薬日本堂の漢方薬局での主な仕事は「漢方相談」でした。
お客様のお話を1時間から2時間ほど伺い、漢方薬を含め体質改善のご提案をおこなっていきます。
そのため、漢方薬の知識だけではなく、どのような食事がいいのか、どのような休み方がいいのか、どのような
運動が向いているのかなど養生も勉強する必要がありました。
また、身体だけでなく環境なども含め全体的にお話を伺い、何が原因で不調が起こっているのかを一緒に
考えていくための聞く力、共感力も大切です。
それでいて、漢方医学は漢字だらけの専門用語ばかりなので、それをかみ砕いてわかりやすく伝えることも
重要になってきます。
退職の1年前からは仕事をしながら黒龍江中医学大学日本校で国際薬膳師の、遼寧中医薬大学日本校で
国際中医師の資格を取得するために勉強をおこなっていました。
3年から4年ほどかけて無事に両方の資格を取得することができました。
2015年に独立後、薬膳鍋kampo’sのプロデュースをおこなうようになりました。
独立したきっかけは、日本の伝統医学である漢方の元となる中医学、つまり中国の伝統医学に
魅了されたことでした。
こんなにもセルフケアに向いており、誰もが実践できる医学があるならもっと多くの方に伝えたい!
知ってもらいたい!という気持ちが強くなったのです。
漢方薬局は体調を崩してご来店いただく方がほとんどで、病気の前段階である不調、
例えば冷え・疲れなどのいわゆる未病の状態でいらっしゃる方は多くありませんでした。
どうすれば未病の方も含めてより多くの方に伝えることができるのだろうかと
考えたときに 出た答えが飲食店でした。
飲食店であれば構えずにご来店いただけますし、あとは食事で理論を説明するだけなので手っ取り早く
体感していただくことができます。
すでに銀座で野菜に特化した飲食店を運営する会社と「もっと健康に特化したお店を作りたい」
という思いが一致し、プロデュースに至りました。
物件探しから始まり、内装からメニュー開発、どのようにお伝えしていくかまですべてにおいて関わりました。
薬剤師免許が必要のない仕事ではありましたが、食が健康に欠かせないのは同じです。
ただ、「健康をつくるための食」や「薬膳」に対して身構える方も多く、初めの1年間はうまくいきませんでした。
そこで、できる限り敷居を低くし、畏まらず日常に取り入れていただけるように心がけました。
そこには「薬剤師の私だからこそ伝えられることがたくさんあるはず」という思いもありました。
「健康」の第一歩である食から伝えたい……その思いは最初から変わっていません。
その後、薬膳鍋に関しては東京新橋で80席程度のお店で提供していましたが、コロナの影響と今後やりたいこと
を考慮し飲食店を閉店して、併設していた漢方薬店kampo’sを2020年6月に移転させました。
そして、商品開発などを進めていたこともあり、同年11月に株式会社kampo labという形で法人設立しました。
2021年には鍼灸院を併設し、漢方と鍼灸にて一人一人に寄り添った健康のお手伝いをさせていただいております。
同時に、私はこれまで漢方・薬膳のことを知ってもらうために、本当にありとあらゆるアプローチで活動をしてきました。
例えば、セミナーでは季節に合わせて起こりやすいお悩みをテーマとしてお話をさせていただきました。
理論もなるべくわかりやすくお伝えし、食での改善をお伝えすべく、ランチにしてご提供することもありました。
プレッシャーもありましたが、回数を重ねるごとにリピーター様も増え、お客様からのありがたいお声も
いただけるようになり、それがやりがいにつながりました。
自店でのセミナーをきっかけに他社様でのセミナーや記事監修などのご依頼もいただくようになりました。
一番驚いたのは資生堂様での講演です。
研究者の方々とのセッションのような会だったのですが、薬学生の頃、憧れを抱いていた会社とのお仕事
でひとつ夢が叶った気持ちでした。
また、某薬科大学と企業のコンセプトショップでは漢方ドリンクバーのメニュー監修もさせていただきました。
薬剤師目線で健康をつくり、でも美味しく可愛く……漢方を新たな視点で魅せられるように、努力しました。
薬効はもちろんですが、日々美味しくいただけることも大切です。
さらに、エステサロンやよもぎ蒸しサロン、薬膳茶ショップなど、医療ではなく、美容から健康を考える
サロン様のメニューや商品のプロデュースもおこなっています。
冷えから血流が悪くなりお肌がくすんでしまう、疲れによって胃腸が弱るとエネルギー不足からお肌の艶がなくなり、
たるみやすくなる……未病というと抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、美容はポジティブな健康をつくる
第一歩だと思います。
その他にも健康を通じて多くの仕事をさせていただきました。
基本的に漢方・薬膳はわかりにくい分野でもありますので、発信していくこと、伝えていくことを
日々積み重ねてきました。
薬剤師は医療業界でも特に表に出ることが少ないですし、表舞台に立つことを好まない方も多いと思います。
私自身も最初はSNSなどでの発信にも足踏みをしていました。
ただ、事業を始めてみて、そう多くの人に見られているわけではないということがわかりました。
伝えたいことがある方は積極的にアウトプットしていったほうがいいです。
そもそも興味のない方は情報すら拾いません。
逆に、今はSNSはもちろん、記事を書いたり、zoomでセミナーをしたり何でもできる時代です。
だからこそ、「見てもらうこと」「拾ってもらうこと」の難しさに気がつきます。
頭の中だけで完結させるのではなく、まず声を発してみてください。
私は薬剤師はハブになれると思っています。
先日、私の地元である愛媛県宇和島市で調剤薬局を経営される先生からお誘いを受け、
今の薬剤師にできることなどについてのディスカッションに参加させていただきました。
恥ずかしながら、私もそのときに知ったのですが、日本は薬剤師の数が世界的にみても圧倒的に多いのだそうです。
2017年にはOECD加盟国で人口1千人あたりの薬剤師数で1位になっています。
病気は悪ではありませんが、病気で悩む方がひとりでも減り、健康であるほうが言うまでもなく理想的です。
そこに一緒に立ち向かえるのが薬剤師ではないかと私は思います。
私たちは薬を含めただの物売りではありません。
これまで学んできた知識を活かし、患者様に寄り添い、どう幸福度を高めていくのか、
それぞれの立場からできることがたくさんあります。
その橋渡しをする中核的存在となり得るのが薬剤師だと思っています。
私は漢方・薬膳というアプローチで、ひとりでも多くの方の幸せな人生に寄り添える薬剤師になりたいと思っています。
これから挑戦するのは2021年12月にオープン予定の「食」を通じて、健康を伝えていく食の専門店です。
その場で食べられる飲食店も併設し、調味料や計り売りの生薬原料などを販売していく予定です。
人から環境、そして地球全体をよくしていくイメージです。
事業を含め、漢方や医療業界はトライアンドエラーの繰り返しで、一生勉強だと思います。
知識もこれで十分ということはないですし、それこそ一生かけて作っていくものだと考えています。
過去、現在の仕事は点で、明日以降の自分もずっと点を重ね、それが線になり、
その線の周りに多くの人々が重なって太くなり、充実していくものだと思っています。
人々の健康に寄与する薬剤師が溢れ、お互いが手と手を取り合って仕事をし、世の中をよくするよう一緒に
励んでいけることを願っています。