アタマで理解・カラダで実践するコアトレ ―コアトレって何?Part2

アタマで理解・カラダで実践するコアトレ 
コアトレって何?Part2

皆さん、こちらの記事へ、お帰りなさい(*^-^*) 再来、ありがとうございます。理学療法士&ピラティス指導者の長尾知香です。

桜も満開シーズンを過ぎ、そろそろ薄着になる季節。冬ごもり中に蓄えた、お腹や背中の脂肪があらわになって、「あれ?」と引き締めたくなる方も、多いのではないでしょうか。はい、私もその一人です!仕事で実践していても、冬は脂肪を貯めて温かくしようとカラダが反応していますから、さすがに、ちょっと太ります。
本格的な春に向けて、コアトレをしっかり理解し、実践に向けて準備しましょう!

「その1」に引き続き、今度はコアトレの効果を科学的な見地から、ご一緒にひも解いていきます。

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医科学的なエビデンス

コア(=体幹)に関する研究は、特に1990年代後半から、腰痛治療に関連したリハビリテーションの科学的根拠として、飛躍的に発展しました。中でも、主にオーストラリアの研究者たちによって見出された、腰椎骨盤帯(腰と骨盤周り)の安定性に関するエビデンスは、その後も運動療法において拠り所とされてきた印象があります。

それは、体幹を安定化させること、すなわち、姿勢のコントロールにおいて、身体の各所の筋肉がうまく協調できているかを、筋肉の動くタイミング力の入れ具合から検証されたものです。

タイミングの問題

重力のある地球上で生活している私たちは、身体を起こしている状態(=抗重力位)で動作をする際は、その動きに先駆けて、予め姿勢を整えて準備をすることで、倒れることなく動作をしています。この先行性姿勢制御のシステムが、腰痛患者では、うまく機能していないことが確認されたのです。

具体的には、まっすぐ立った状態で、腕を身体の前後や横に動かした時の、腕の筋肉とおなかのインナーマッスルである腹横筋について、筋肉に力が入る時に生じる電気信号を計測したところ、腰痛のない人は腕が動く前に腹横筋に力が入るのに対し、腰痛患者では、腕が動いた後に遅れて腹横筋に力が入っている、つまり先行性姿勢制御の遅延が起こっていることが示されました。

「脊椎の分節的安定性のための運動療法」エンタプライズ2002 より改変

力の入れ具合=量と質の問題

量の問題として、彼らはまた、せなかのインナーマッスルである多裂筋の断面積を測定し、腰痛のない健常者には見られない、著しい左右非対称性が腰痛患者にみられることを発見しました。そして、初発の腰痛患者を被験者にした実験では、この多裂筋の断面積の低下は、腰痛が沈静化しても自然回復せず、4週間のエクササイズ介入群のみが回復していました。

質の問題とは、脳や筋肉のセンサーなど複雑なシステムの中で、力の入れ具合を程よくコントロールできているか否か、を示します。具体的にご説明しますと、、、例え話として、ぎっくり腰
これは、コアの姿勢コントロールがうまく機能していないと、当然不安定になり、グキッとやっちゃいます。専門的には、仙腸関節の機能障害ということになるでしょうか。

さて、ぼーっと背中を丸くしてデスクワーク。お!携帯が鳴った、不意にパッと手を伸ばして腰をひねって取ろうとしたら、グキッ⤵
脳がおさぼりしていて、先行性の姿勢コントロールとして、腕を伸ばしたり腰をひねる前に、インナーマッスルに指令できませんでした。長時間、丸い背中でいたので、アウターマッスルの腹直筋が硬く縮み、インナーマッスルの腹横筋や多裂筋はつぶされたり伸ばされすぎて筋肉のセンサーが故障...

そして、ぎっくりしちゃってからは、痛くてしばらくお腹も背中も必要以上に力を入れて、ロボットのようにカキーンと固まった身体で動く羽目になりました...

重たいモノを持つ前、事前にお腹に力を入れて持つので、その時にはぎっくり腰になることが少なく、逆に不意に床に落ちたものを取る信号の変わり目で急に走り出す瞬間などが、グキッとなることが多いのではないでしょうか。

筋肉ムキムキの人もぎっくり腰になるでしょうし。要するに、筋肉があれば大丈夫、ではなく、使い方、コントロールできているか=機能しているか、が大切なのではないでしょうか。

エビデンスの解釈について

しかし、そもそも科学的根拠と言われるものも、もちろん、完璧で絶対ではありません1つの例として、以下の調査結果をご紹介します。
研究論文に書いているものと同じ材料や方法で試したら、同じ結果が出ることを「再現性がある」といいます。再現性=信頼性であり、科学となりえる条件でもあります。

2016年、科学雑誌『ネイチャー』がこの再現性について、医学生物学分野の研究者にオンライン・アンケートを実施したところ、「研究者の70%以上がほかの研究者の実験を再現しようと試みて失敗しており、半分以上が自分自身の実験を再現することに失敗している」という衝撃的な結果が出ました。
今回ご紹介したエビデンスも、筋のタイミング測定と腰痛との関連性や、コアトレの長期的な効果などは、まだまだ検証が続けられている状態で、今後も発展が気になる分野です。

ここで改めて、私の20年近くの運動指導の経験から、自信を持ってお伝えしたいのは、身体の使い方という機能的な問題だけの場合は、コアトレをすれば、確実に、姿勢コントロール力が身につく!ということです。

そのため、副次的なメリットとして、機能的な問題による肩こり、腰痛の予防になりえます!私も含め、コアトレを実践してきたクライアントさんも何人も、ぎっくり腰の軽いものは、インナーマッスルを意識して過ごすと、すぐに改善し、再発予防にもなっている実体験があります。

まずは、試しにやってみましょう!

これまでのお話は、いわゆる一般論。結局のところ、今、あなたに必要なものかどうかは、取り組んでみないと分かりませんね。でも、こんな理論的背景があるんだ、と頭で理解できれば、全くのお門違いな行動にはならないでしょう。少しでも、可能性を見出せるようでしたら、まずはトライしてみること、これが一番大事かもしれません。
何事も、やらないと合っていたかどうかの結果すら出ません。

そして、正しく適切な方法でトレーニングすれば、デメリットはほとんどないはず。

さあ、皆さんも、うまく姿勢をコントロールして、肩こりや腰痛、疲れやすいカラダからおさらば、を目指してみませんか?
次回は、その正しく適切なトレーニング方法を、一緒に学びましょう(^^♪

心身一如。動き方で、生き方や考え方も変わります。いい加減に動くより、共に、丁寧に、大切に動き、生きていきたいですね。

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