梅仕事の季節到来! 夏が待ち遠しくなる薬膳梅シロップ

梅仕事の季節到来!
夏が待ち遠しくなる薬膳梅シロップ

漢方mediaコラムをご覧の皆さま、初めまして。
漢方カウンセラー・養生薬膳アドバイザーの星川美由紀です。【キッチンから健康に】をモットーに、お家でできる食養生をお伝えします。

今日は日本人ならみんな知っている、酸っぱい食べ物の代表「梅」のお話をします。
春先に香りの良い花を咲かせる樹木ですが、「梅」と言われて思い浮かぶのは「梅干し」という方が多いのではないでしょうか?私もその一人です。「梅干し」のことを想像するだけで唾がでてきたり、唇に思わず力が入ってしまいます。

梅は高温多湿な日本の夏に昔から活用されてきました。私達が普段食べている梅にはどのような働きがあり、どんな時に使えば良いのかお話ししていきます。

薬として使われた梅

梅は万葉時代に中国から漢方薬として日本に伝わってきました。生薬名は「烏梅(うばい)です。烏梅は青い梅を黒くなるまで燻して乾燥させたもので、その黒い色がカラス(烏)を想像させ、この名前がついたと言われています。
烏梅は中国名では「wu mei」「ウ メイ」と呼ばれることから、後に伝わってきた梅の樹木を「ウメ」と呼ぶようになったそうです(諸説あり)

烏梅は、体を潤す働きがあるので喉の渇きや空咳によく、体を引き締め漏れを防ぐ働きがあるので出過ぎる鼻水や汗、慢性の下痢、不正出血に用いられます。

台湾では夏の飲み物の定番「酸梅湯(さんめいたん)」の材料に使われています。甘酸っぱくて美味しい飲み物です。

日本では江戸時代になって「梅は三毒(水の毒・血の毒・食べ物の毒)を経つ」として、梅のエキスを凝縮した「梅エキス」が珍重され、一般家庭の食卓には梅干しが並ぶようになりました。

【五味】酸味:収斂(引き締める作用)
【四気】平性:温めも冷ましもしない
【帰経】肝脾肺:ストレス・食欲不振・下痢・疲労・咳・夏バテからの回復、食中毒の防止

烏梅と同じく梅の酸味には、体を引き締め体からの漏れを防ぐという働きがあるので、暑くて沢山の汗をかく夏には毛穴を引き締め汗をかきにくくしてくれます。他には鼻水、頻尿、尿もれ、慢性の咳、慢性の下痢、不正出血などの体からの漏れを止めたい時にオススメです。

他にも梅に含まれるクエン酸には疲労回復効果があり、梅干しを食べることで多く分泌される唾液には消化促進や殺菌効果もあるので、梅雨時の食中毒や夏バテ防止にぴったりの食材なのです。

薬膳梅シロップで日本の夏を乗り切ろう

夏にピッタリな青梅を使った薬膳梅シロップをご紹介します。

今回は「酸梅湯」にも使われている生薬で割と手に入りやすいもの使っています。

・青梅 1kg
・氷砂糖 800g~1kg
・穀物酢 1カップ
・薬膳材料
   ハイビスカス 3~5個
   サンザシ 輪切りのもの5個
   チンピ 大さじ1
   なつめ 大きいもの3個
   クコの実 大さじ1~2

洛神花(ハイビスカス)・山査子(サンザシ)で体を引き締め、血と水の巡りをよくし、陳皮(チンピ)でお腹を温め、大棗(なつめ)で胃腸の保護をし、枸杞子(クコの実)で滋養強壮です。これらの生薬は全部入れなくても大丈夫です。

のかきすぎが気になる方は洛神花、山査子多めで酸味を効かせたり
お腹の調子を整えたい方は陳皮を入れてお腹の湿をとる
虚弱で体力をつけたい方は大棗・枸杞子を多めにいれ元気をつける

入れる分量や組み合わせに正解はありません、ぜひご自分やご家族を観察し、まずは楽しんで作ってみてください。

薬膳梅シロップの作り方

1.青梅はきれいに洗ってヘタを取り水気を乾かす
2.乾いた青梅を保存袋に入れて冷凍する

  

青梅は冷凍しなくても漬けることができますが、そのまま置いておくとどんどん熟していくので、冷凍しておくと安心。時間に余裕がある時に漬けることができますし、冷凍することで実の組織が分解され早く出来上がるというメリットがあります。
熟した梅ではシロップはできないのかというと、少々熟した位の梅でも大丈夫です、良い香りの梅シロップが出来上がります。

3.清潔なビンに冷凍した青梅、氷砂糖、生薬を交互に入れ、最後に酢を入れる

  

今回は純度の高いすっきりして甘味の氷砂糖を使っていますが、お好みの砂糖を使っても大丈夫です。冷えが気になる方は氷砂糖を少し減らして「黒糖」を加えてみたり、血糖が気になる方は「羅漢果糖」、お腹を整えたい方は「ビートオリゴ糖」で作ってみても良いと思います。梅と甘味の割合は基本1対1なので、小瓶に色々なブレンドで作ってみるのも楽しいと思います。

4.直射日光の当たらない場所に置き1日1回ビンを上下に振る

   

冷凍した青梅の水分はこのように1日で上がり洛神花の色が出てルビー色のシロップになります。

5.氷砂糖が完全に溶けたら完成

   

一週間で程度で完成します。冷凍していない青梅の場合は1ヶ月ほどかかりますが、ゆっくり熟成していく過程もまた楽しいですよ!

楽しみ方

出来上がったシロップは、お湯や水や炭酸で割って夏の水分補給に、凍らせてシャーベットに、かき氷のシロップに、ドレッシングやマリネや酢の物の隠し味など料理にも使うことができます。みなさん工夫して美味しく利用してみてください。

美味しい薬膳梅シロップですが、梅雨時に飲み過ぎると体の湿気を追い出しにくくなり不調の原因にもなるので注意が必要です。

薬膳梅シロップで暑い夏を快適にお過ごしください。

この記事を書いた人

星川美由紀

漢方カウンセラー・養生薬膳アドバイザー
広島県呉市出身。群馬県館林で漢方カウンセラー、養生薬膳アドバイザーとして「漢方養生・薬膳・発酵ワークショップサロン」を主宰。モットーは【キッチンから健康に】。
医療者任せではなく自分の体の不調は自分で改善したり、予防できる人が増えて欲しいという願いから、一般向け講座で幅広い層へ漢方養生を伝える活動を行っている。冷蔵庫にあるものでもお薬の代わりになる使い方のコツや、日々の食事、ちょっとした心がけで体を整える養生法が得意。

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