むくみ・だるさ・頭痛〜初夏こそおすすめ「よもぎ蒸し」

むくみ・だるさ・頭痛
初夏こそおすすめ「よもぎ蒸し」

香港在住の薬剤師・国際中医師の林 三貴です。
今回は初夏の養生にぜひとも取り入れていただきたい「よもぎ蒸し」について詳しく解説したいと思います。

初夏の養生

立夏を迎え、暦の上では夏がスタートしました。夏は自然界の氣が交わり、この世の全てのものが盛んに成長する季節で、自然界の一部である私達も、陽気を発散させ、のびのびとした気持ちで過ごすことが、健康の秘訣となります。

特に初夏は何をするにも良い季節で、陽気を発散しやすく、快適にのびのびと過ごせる時期かと思います。しかし、天気により寒くなる日もあるので、うっかりして冷えてしまったり、徐々に雨量が多くなり、湿度も高くなるので、ジメジメ、どんよりする日も増えていくので、心地よい良い時期は意外と短いかもしれません。

冷えや湿気は、カラダの6割が水分である私達の新陳代謝に多大な影響を与えるのですが、新陳代謝が悪くなり、体内の水分バランスが崩れると、カラダに不必要な水分が溜まり、むくみやだるさ、頭痛、めまい、胃腸のトラブル、湿疹、神経痛などが症状として出てきます。

これからは、冷たいものを摂る機会も増え、冷房の利用頻度も高まり、夏の不調を招く要因が増えてきますが、早いうちから策を講じていれば、カラダに不必要な水分や冷えが溜まることなく、夏を快適に過ごせます。

次の季節を心地よく過ごすために、初夏の過ごし方や習慣は大切になってきます。

・適度な発汗の機会を作る

・からだを冷やさない など

「からだを温めて新陳代謝を良くする」ことがポイントです。 

夏こそ!よもぎ蒸しのススメ

そこで、初夏の養生法のひとつしておすすめするのが「よもぎ蒸し」です。

よもぎ蒸しは、日本でも浸透した健康法ではありますが、冬場の冷えを改善する養生法のイメージが強いかと思います。しかし、発汗しながらカラダを温める健康法なので、人工的に一番冷え、基礎代謝が下がる「夏」の養生にも効果的で、寧ろ積極的に取り入れて欲しい養生法と言えます。

 

よもぎ蒸しとは?

よもぎ蒸しは、韓国で約600年前に生まれた「汗蒸幕」と言われる発汗健康法です。最近では日本でも、冷え改善、ダイエット、デトックスなどが期待できる健康法としておなじみかと思います。

煎じたよもぎの蒸気を直接、陰部にあてることが、サウナや岩盤浴などのいわゆる”温め健康法”と異なる点で、カラダを外から温めるだけでなく、内側からも温めて血行を促進させることにより、冷えが改善されたり、薬効成分を含んだ蒸気が、吸収率のよい膣の粘膜から吸収されるので、内臓組織や子宮などに浸透しやすく、よもぎの効能が効率よく表れ、新陳代謝もアップすると考えられます。

よもぎの効果・効能

よもぎは、キク科ヨモギ属の多年草の総称です。世界で250種もあり、ざっくりと日本や朝鮮に自生するよもぎと、アフリカに自生するオウシュウヨモギなどに大別されます。

※よもぎはキク科に属するため、キク科アレルギーがある方のご使用には注意が必要です

葉から根まで余す所なく利用でき、数々の効果・効能をもつので、古代のインドやエジプト、西洋諸国の自然療法の分野では、古くから病を止める万能薬として用いられてきました。

フランスでは、俗名「エルプ・ロワイヤル(王の草)」、アイヌでは「地上に最初に生えた草、カムイノヤ(神の草)」と言われ、世界中で親しまれ、重用されてきたハーブと言えます。

よもぎに豊富に含まれる葉緑素のクロロフィルは、血液に含まれるヘモグロビンとよく似た構造を持つため、ヘモグロビン同様の優れた造血作用があり、貧血予防、冷え症改善、生理痛、婦人科系疾患・むくみなどの対策としても期待できます。

また、蓄積したダイオキシン(環境ホルモン)や水銀や鉛などの有害金属、残留農薬や添加物などを取り除き、体外に排出させる血液浄化作用もあります。その他、抗アレルギー作用、発がん抑制作用、脂質異常を改善する働きなどがあると言われています。

同様に豊富に含まれる成分として、β-カロテンとビタミンKがあり、β-カロテンには、免疫機能を維持する作用や粘膜や皮膚を健やかに保ち、喉や肺など呼吸器系を守る働きが、ビタミンKには、血液凝固に関わる成分の合成を促す働きがあるとされています。

よもぎの香り成分に含まれるシオネール、βカリオフィレンには、アロマ効果があり、リラックス作用、自律神経やホルモンバランスを整え、不眠やイライラ、不安感の鎮静が期待でき、またストレス解消、口臭防止、防腐作用、新陳代謝促進効果もあります。

その他の成分として、ビタミンやミネラル、フラボノイド等が含まれ、効果・効能の高さが伺えます。

漢方薬としてのよもぎ

漢方薬の構成生薬として使われる場合は「艾葉(がいよう)」と呼ばれ、艾には「疾(やまい)を艾する(止める)」という意味があることからも、中国では俗名『医草』と呼ばれています。

下腹部を中心に温めて 、エネルギ ーである氣や血液の巡りを調え内臓機能を高めるので、冷え性の改善や止血作用、月経調整作用、 鎮痛作用、安産作用のある生薬として使用されています。

民間療法でお灸に使われる「もぐさ」の原料もよもぎです。

よもぎのお灸は、古代中国の北方地方から伝わり、日本では約600年前から使用されているのですが、香港の薬店でも「艾草」と書かれたお灸をよく見かけます。

万葉集で「蓬」と詠まれ、昔から厄を祓う意味でも重用されていた「よもぎ」は、「食べて良し、付けて良し、嗅いで良し」の三拍子揃った薬草です。

今夏はよもぎの恩恵にあずかり「よもぎ蒸し」で健康増進をはかるのも良いのではないでしょうか?

 

この記事を書いた人

林三貴

薬剤師、国際中医師
おうち漢方@香港を主催
薬学部卒業後、製薬会社、調剤専門薬局を経て、現代医学にない漢方の世界観、自然哲学に魅せられ漢方専門薬局へ。2008年国際中医師免許を取得する。 主に婦人科系疾患を担当し、女性の悩みに耳を傾け症状改善を手がける。 2012年香港に移住。現地で漢方カウンセリング、漢方レッスンを開講する。 漢方養生茶、よもぎ蒸し、経絡トリートメントを取り入れた漢方カウンセリングでは、現代医学、現代栄養学の見解も併せ、養生法を提案。現地日本人の健康サポートを行う。 オンラインでのカウンセリングも実施しており、香港のみならず日本の方にも、本場香港からの漢方の智慧をお届けできればと思っている。

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