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子どもの歯を元気に育てるために妊娠前からしておきたいこと!~口腔内ケア編~

子どもの歯を元気に育てるために
妊娠前からしておきたいこと!
~口腔内ケア編~

ステラデンタルクリニックに所属している薬剤師・国際中医臨床薬膳師の豊田暖佳です。
妊娠すると、赤ちゃんのためにより一層、自分の身体に気をつける方が多いと思います。
しかし、身体のケアの中で、忘れられがちなのが『お口のケア』です。

妊娠中に起きるお口の変化

妊娠中の女性ホルモンの上昇

妊娠中には、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が活発になり、通常時の10~30倍増えると言われています。お口の細菌は女性ホルモンをエサにしているので、妊娠すると細菌の数が増加します。この細菌が増えると、歯と歯茎の溝に細菌がたまり、歯茎が赤く腫れあがります。それを放置しておくと、骨まで炎症が起こり、歯周病になってしまいます。

進行した歯周病はタバコと同じくらい危険?!

妊娠中にタバコを吸っていると、タバコを吸うたびに赤ちゃんはビクン!と一瞬呼吸が止まり、窒息状態になります。そのため、自然流産や早産の確率が上がると言われています。また、赤ちゃんの身体の発育や知能発達の遅延の原因になります。
自然流産率:2.2倍、早産発生率:4.2倍、低体重児発生率:2.4倍
このようにタバコは妊娠中に良くないことはご存知な方が多いと思いますが、進行した歯周病もタバコと同じかそれ以上に自然流産・早産への影響があることをご存知でしょうか?
進んだ歯周病による炎症物質(プロスタグランジン)が血液中に入ることにより、子宮平滑筋の収縮や子宮頸部を拡張し、流産や早産を引き起こす可能性があります。重度の歯周病の場合は、早産や低体重児の発生率が5~7倍に増えると言われています。

お口の中が酸性になりやすい

妊娠すると、つわりが始まり歯磨きができなくなったり、酸っぱい食べ物を食べたいなどの好みの変化や食べる回数が増えるなどといった食生活の変化でお口の中が酸性に傾きやすくなります。虫歯菌は、酸性の状態が好きなので、虫歯になりやすくなります。虫歯ができるとその周りには汚れがつきやすくなるので、歯周病の原因にもなります。

虫歯を予防するために食べた後は歯磨きをしてお口の中をきれいにすることダラダラ食べたり、飲んだりすることは控えましょう
つわりで歯磨きが難しい場合は、飲み物を水やお茶にしたり、食後にうがいやお茶を飲んでお口をゆすぐことも大切です。
食べづわりの方で、ちょこちょこ食べないとしんどい方は虫歯になりやすい食材は避けて、歯によい食材を選んで、よく噛んで食べてみてください

ナッツ、チーズ、野菜スティック、するめ、小魚など
キャラメル、チョコレート、飴、スナック菓子、スポーツ飲料、ジュースなど

 

お母さんに虫歯があると子供も虫歯になりやすい?!

お母さんに虫歯がある場合とない場合で、2歳児の虫歯の発生率を調べてみると、虫歯がある母の子の虫歯発生率は75%虫歯がない母の子の虫歯の発生率は24%と、約3倍もリスクが上がることが様々な研究でわかってきました。

産まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は無菌状態!

産まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯の原因のミュースタンス菌は全くいません
乳歯が生え始めるころから3歳くらいまでに家族から食事中のスプーンの共有や口移しキスなどによって唾液を介して感染していくのです。お子さんの虫歯を予防するためにも、赤ちゃんのそばにいるご家族皆様がお口の中を清潔に保ち、虫歯菌を減らすことが重要です。

腎を強化して虫歯予防

東洋医学的に虫歯予防でできることは、唾液の分泌を増やすことです。唾液の分泌は五行論では『腎』に深い関係があると言われています。妊娠中は唾液の分泌が減り虫歯になりやすいとも言われていますので、腎を強化して唾液の分泌を促すことも大切です。

・食べかすや歯石を洗い流す(自浄作用)
・食べ物を分解して消化を促す(消化作用)
・細菌の増殖を抑える(抗菌作用)
・お口の環境が飲食などで酸性に傾いても中性に戻す(緩衝作用)
・味を感じさせたり、飲み込みやすい塊にする(食塊形成作用)
・喉や食道を傷つけにくくする(粘膜保護作用)
・口の粘膜が傷ついたときに修復する(粘膜修復作用)
・飲食により、溶けかかった歯面を修復する(再石灰化作用)
・発音や発声をスムーズにする(潤滑作用)
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腎を補う食材は、「黒い食材」と「鹹味(かんみ)(塩辛い)」の性質をもつものと言われています。

黒豆、黒ゴマ、くるみ、栗、イカ、アジ、豚肉など
昆布、わかめ、海苔、ひじきなど

これらの食材も積極的に食べましょう。

妊娠中のお口のケアがいかに大切かわかりましたか?
まずは今のお口の状態を歯科医院で診てもらいましょう。母子手帳の中に歯科健診の補助券がついています。虫歯、歯周病がないかチェックしてもらいましょう。虫歯や歯周病があった場合、妊娠中でも治療や予防はできます。一番よくないのは放置しておくことです。放置しておくと進行していくだけです。歯科医院では家での歯磨きの仕方やフロスの使い方などもアドバイスしてもらえます。親子で虫歯ゼロを目指してみてください。

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この記事を書いた人

豊田暖佳

薬剤師・国際中医臨床薬膳師
星薬科大学を卒業後、薬日本堂に入社。実家の広島に戻り、1年半調剤薬局を経験した後、東洋医学の大切さを再認識し、再度、漢方薬局に就職。 子宝、生理痛、子宮筋腫、皮膚症状などを中心に、のべ5000人以上の方の漢方相談の経験があり、 2022年よりステラデンタルクリニックに所属し、お口の健康だけでなく、栄養と東洋医学の知識も含め、全身の健康づくりのお手伝いができるようにサポートしています。 自身も2歳と4歳の子どもがいるので、2度の出産と育児の経験を活かし、マタニティ歯科教室や離乳食、幼児食教室などを開催し、養生法も含めてお伝えしています。

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