全国の発酵食品35選!旅行の際には要チェック

地元の名産品に発酵食品ってある?

薬剤師・醸しにすと・食育インストラクターの小河由実です。
日本は醤油、味噌、味醂などの調味料だけでなく、食品にも発酵を利用したものが様々あります。冷蔵や冷凍の技術がなかった時代は、発酵させることで腐敗を防ぎ食べ物を保存させてきました。それにより、日本各地で様々な発酵食品が生まれています。この様々な発酵食品により日本独特の食文化が完成されてきました。
 皆さんは自分のお住まいの地域もしくは出身地特有の発酵食品をご存じですか?今回は各地の発酵食品をご紹介します!皆さんの知らなかった珍しい発酵食品もあるかもしれません。旅行先で味わう楽しみにしてもよいですね。

各地の発酵食品

北海道・東北地方


(いぶりがっこ)

飯鮓(北海道)

鮭やはたはた、ニシンなどと米、野菜類、麹を一緒に発酵させたもの。晩秋から初冬にかけて漬けられ、冬の伝統的な保存食。なれ寿司の一種で、他のなれ寿司と比較すると低温で漬ける時間も短く、匂いはきつくない。

しょっつる(秋田県)

ハタハタやイワシを塩漬けにして作られる魚醤。塩分が濃く(魚の重量の3~4割程の塩で漬ける)、生臭い独特な匂いがする。秋田ではしょっつる鍋や、汁物の調味料として使用される。

三五八漬け(福島県、山形県、秋田県)

塩、米麹、米を3:5:8の割合で混ぜられたつけ床で野菜、するめなどを漬けたもの。

いぶりがっこ(秋田県)

大根を囲炉裏に吊るし、囲炉裏の煙で燻す。その後米ぬかと塩で漬けたもの。

青菜漬け(山形県)

晩秋に各家庭で大量に青菜を塩漬けして、春まで保管。それを煮て食べたり葉でおにぎりを包んで食す。

関東地方


(たまり漬け)

くさや(東京都)

400年ほどまえから新島で作られている。匂いが強烈。新鮮なムロアジ類を桶に入れた塩水に漬けて干し、桶の塩水を繰り返し使うことで発酵しくさや液となる。

たまり漬け(栃木県)

ラッキョウ、大根、ナスなどの野菜をまず塩漬けにしたのち塩を抜いてたまり(味噌を作る際に生じる上澄み)に漬ける。

鉄砲漬け(千葉県)

瓜の中をくりぬき、その中にしその葉で巻いた唐辛子を詰めて漬け込んだもの。くりぬいた瓜が鉄砲の筒、中に詰めた唐辛子が火薬のようであることから鉄砲漬けと名付けられる。

べったら漬け(東京都)

塩で浅漬けした大根を米・米麹・砂糖などを合わせたものに漬け込む。大根を干していない点が沢庵との違い。表面が麹でべたべたしているためべったら漬けと呼ばれる。

甲信越地方


(ふぐの卵巣の糠漬け)

野沢菜漬け(長野県)

冬に収穫された野沢菜を塩漬けにする。シャキシャキとした青菜の食感を楽しむ浅漬けとべっこう色になるまで漬け込む古漬けと楽しみ方がある。

すんき漬け(長野県)

カブ菜を塩を使わずに乳酸発酵させたもの。木曽地方の名産で、海から遠く塩が貴重であったため塩を使わずにすんき種を加えて発酵させる。

かんずり(新潟県)

塩漬けした赤唐辛子を天日干しし、その後すり潰し米麹、柚子、塩などと混ぜて発酵・熟成させる。

ふぐの卵巣の糠漬け(石川県)

ふぐの卵巣を1~1.5年塩漬けにし、その後糠に漬ける。この過程で卵巣の毒素は消失する。

へしこ(福井県)

サバやイワシの内臓を取り出して塩漬けにし、その後糠漬けにしたもの。塩味がとても強い。

いしる(石川県)

魚介類に塩を加えて漬け込み発酵・熟成させた魚醤。臭みはあるもののコクや旨味もある。

かぶら寿司(石川県)

塩漬けしたカブに塩漬けした鰤を挟み、米麹を加えて発酵させたなれ寿司の1つ。ハレのご馳走として各家庭で作られていた。

このわた(石川県)

なまこの内臓の塩辛。ウニ・からすみと並んで日本の三大珍味の一つ。下処理をしたナマコを塩漬けにして発酵・熟成させて作られる。

赤かぶ漬け(岐阜県)

飛騨地方の野菜である飛騨紅かぶに塩をまぶし、乳酸発酵させたもの。

東海地方


(わさび漬け)

守口漬け(愛知県)

守口大根を塩漬けにした後、酒粕やみりん粕に2~3年漬けたもの。

わさび漬け(静岡県)

細かく刻んだわさびの茎や根を塩漬けし、その後酒粕と混ぜ合わせたもの。

関西地方


(フナ寿司)

フナ寿司(滋賀県)

琵琶湖で捕れたフナを塩漬けにし、その後、ご飯と一緒に漬け込み発酵させたもの。ハレの日に食べるものとして作られていた。

奈良漬け(奈良県)

白瓜や茄子・キュウリを塩漬けにし、酒粕に漬けたもの。粕床で何回も漬け変え何年も漬け込むと黒くなる。

養肝漬け(三重県)

白瓜の芯をくりぬき、しそ・ショウガ・大根・キュウリなどを細かく刻んだものを詰めて、たまり醤油で漬け込んだもの。

日野菜漬け(滋賀県)

滋賀県の伝統野菜「日野菜」を使う。日野菜を干し、米ぬか・粗塩と一緒に漬けたもの。

さんまのなれ寿司(和歌山県)

熊野地方で獲れるさんまは適度に脂もおちた身の引き締まった状態で、寿司向きである。さんまを米麹と一緒に発酵させたなれ寿司。

中国・四国地方


(カツオの酒盗)

緋のカブ漬け(愛媛県)

緋カブを塩漬けし、その後、だいだい酢や砂糖などと一緒に漬ける。アントシアニンと酢の反応で鮮やかな赤色になる。

カツオの酒盗(高知県)

カツオの内臓を塩漬けにしたもの。塩気が強い。

いかなご醤油(香川県)

いかなごを塩漬けにして発酵させて作られる魚醤。独特な匂いもあるが旨味もある。

碁石茶(高知県)

茶葉を摘むのではなく枝ごと刈り取り蒸す。蒸したものから茶葉を選別し、「むろ」の中でカビ付けを行う。カビ付けした茶葉を蒸したときの煮汁と一緒に漬け込み乳酸発酵させる。発酵した茶葉を天日干しすると碁石のように黒く乾燥するため碁石茶と呼ばれる。

広島菜漬け(広島県)

広島菜を多めの塩で漬ける「荒漬」、荒漬したものを水で洗い塩分を低くし再度漬ける「中漬」、中漬をダシと一緒に漬ける「本漬」の工程を経て作られる。

九州・沖縄地方


(豆腐よう)

がん漬け(佐賀県)

干潟に住む小型のカニをよく洗い、殻ごとすり潰して塩や唐辛子などと漬けた塩辛の一種。

山川漬け(鹿児島県)

大根を天日干しにして乾燥させ、その後杵でたたき柔らかくしてかめ壺で約半年間塩漬けにしたもの。

青じそ千枚漬け(宮崎県)

塩を振った青じそを重ねて重しをして数日間漬けたものを、重ねたまま切り分けてサラシで巻き砂糖・味噌を混ぜたものに半年漬ける。

豆腐よう(沖縄県)

固めの沖縄豆腐を陰干しし、米麹・紅麹・泡盛で発酵させたもの。

すくがらす(沖縄県)

アイゴの稚魚を塩漬けし、3か月~1年発酵・熟成させる。発酵させたら瓶詰し漬汁を注いで泡盛漬けになっていた唐辛子を加えて密封される。

 

今回ご紹介したのは各地方の発酵食品の一部です。有名なものもあればあまり知られていないものもあると思います。
まだまだ沢山その土地独特の発酵食品があります。是非皆さん探してみてください。

この記事を書いた人

小河由実

薬剤師・醸しにすと・食育インストラクター
塩麹や甘酒など発酵食品を自作して日々の料理に積極的に取り入れつつ、発酵食品をより身近に感じてもらえるように、簡単に発酵食品を取り入れられるようなレシピを研究中。 2021年に出産し、子育てをしながら離乳食や食育への発酵食品の取り入れ方も勉強中。

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