恭喜發財!
2月1日に旧暦の新年を迎えた香港、ようやく寅年になりました。
『恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)』とは、香港での「あけましておめでとう」の挨拶言葉です。初めて目にした方も多いと思いますが、これには「お金が貯まりますように!儲かりますように!」という意味があり、なんとも香港らしいと思います。
新年の挨拶は『恭喜發財』に続き、縁起のよい四文字熟語を並べるのが通常です。
例えば
大吉大利 めでたいことがたくさんありますように
萬事如意 物事がすべてうまくいきますように
心想事成 願い事が叶いますように
生意興隆 商売繁盛しますように
身體健康 健康でいられますように
などです。
「新年好」という中国語の新年の挨拶は、香港ではあまり使われず「新年快樂」も、新暦の新年の場合に使うことの方が多いです。
太陽暦を採用している日本では、もはや旧暦の正月に馴染みがないと思いますが、中華圏ならびに日本以外のアジア各国、例えば、タイやベトナムなどでは、新年と言えば旧暦のカレンダーを重視し、旧暦の新年を盛大に祝う習慣が続いています。
また、日本では、旧暦の正月のことを「旧正月」と言いますが、「旧正月」は日本だけの言葉で中華圏では使われません。旧暦の正月は『春節』や『農暦新年』と言われます。
旧暦とは?
日本では明治6年に、太陽暦への改暦が行われました。それまでは旧暦を使っていたので、節分や中秋の名月(旧8月15日)などの行事は、まだ私達の生活に残っています。潮汐と関係が深い漁業業界や漁業関係では、旧暦を重んじて活用しているとも聞きます。
旧暦で使われている暦は「太陰太陽暦」と言われ、太陰暦や陰暦とも呼ばれています。太陰太陽暦は、月(太陰)と太陽を基に「月の満ち欠け」と「太陽の動き」を組み合わせた暦です。
旧暦では月の満ち欠けのサイクルを基準に1ヶ月を決めています。
新月の日を毎月1日とし、新月→上弦の月→満月→下弦の月→新月で1ヶ月は約29.5日。それが12回繰り返されるので、1年は約354日になります。
約365日で元の位置に戻る太陽の動きと比べると、旧暦は1年が11日少なくなってしまい、このままでは年々季節感のズレが生じてしまうので、約3年に一度、1年を13ヶ月にする閏月(うるうづき)を用いて調整しています。
ゆえに旧正月は毎年異なり、今年2022年は2月1日が旧正月の元日になります。
旧暦では「春夏秋冬」という順番で1年を考えるので、1年の始まりの1月は「春」になり、旧暦の正月は春節と呼ばれます。
春は旧暦の1〜3月、夏は4〜6月、秋は7〜9月、冬は10〜12月ですので、新暦で換算したとしても、現在の季節感とはかなり違いがあります。
香港の旧正月
旧正月期間とは、旧暦の1月15日までの約2週間を指します。
爆竹を鳴らす
旧正月といえば爆竹をならすのが定番ですが、これは爆竹の音で「魔除け」するという意味があるようです。日本の「除夜の鐘」の如くでしょうか。
花を飾る
旧正月に花を飾るのは必須で、「花開富貴(花が咲くようにお金で満たされる)」という言葉もあるように、お正月にお花を飾るのは縁起が良いとされています。普段、花を飾ることに縁のない方もこの時期だけは花を飾るので、正月前には花市も開かれます。子孫繁栄の縁起物として、蜜柑や金柑、5つの突起を持つ角茄子(ツノナス)、桃、水仙、万年竹などを飾るのが定番です。
家族団欒
日本と同様に、大掃除など身の回りを整えることは、お正月前に全て終わらせてしまい、お正月期間は賑やかに家族団欒で過ごします。
大人もお年玉
香港でも『利是(レイシー)』と言われるお年玉があるのですが、日本とは少し異なり、親戚のみならず、お世話になっている方全てにお年玉を振舞います。独身であれば大人でも貰えるんですよ。
お餅
日本でお正月に御節やお雑煮などを食べるように、香港でも旧正月にお餅を食べる風習があります。代表的なものが「年糕(ニンゴウ)」。
糕は「高」と中国語の発音が同じなので「年年高高(年々高く上昇する)」という言葉に掛けて、縁起のよい食べ物として食べられます。お馴染みの大根餅(蘿蔔糕)も年糕の一種です。
その他、タロイモやココナッツミルク、カボチャなどを用い、様々な味の「年糕」を食べます。
中秋節の「月餅」と同じように、旧正月前は街中で「年糕」が売られ、季節の風物詩でもあります。
年糕は日本のお餅のように伸びませんが、モチモチとしていてお団子に近い食感です。機会があればぜひお召し上がりいただきたいです。
ランタン祭り
旧正月の閉めは『元宵節』。日本でいうところの小正月にあたります。新年で初めての満月の日、元月の最初の宵(夜)であることより「元宵節」と言われ、ランタン祭りが開催されます。
ランタン祭りにまつわるロマンチックな話がいくつもあることから「チャイニーズバレンタインデー」とも言われているらしいですよ。
旧暦新年にすべきこと
中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には「人の体も月に影響される」と記されています。
確かに7割近くが水分である私達の体も、潮の満ち引き同様、月の引力の影響を受けているので、月のリズムに合わせた体のリズムがあると言えますね。
新年のスタートに加え、1ヶ月のスタートでもある旧正月。
新月には解き放つ力が宿ると言われ、リセットするにはピッタリの時期と言えます。
そして満月に向かって、少しずつエネルギー(気)が増える時期であり、「春」という物事が始まり、万物が芽吹く季節を踏まえると、旧正月は、なりたい自分をイメージして願掛けしながら、体調や精神を整えるのに適している時期だと言えます。
”1年の計は元旦にあり”
正月気分で気が緩み、美味しいものをたくさん頂く時期ではありますが、春の臓器「肝」の負担にならないよう、太陽の光を浴びて血液を浄化し素晴らしい1年にしていきたいところですね。