昔から日本の食卓に欠かせないお味噌汁。寒くなってくると、お味噌汁を一口飲むとホッとしませんか?今は皆さんスーパーでお味噌を買うと思いますが、昔は各家庭で作られていました。「手前味噌」という言葉がありますが、これは自作のお味噌の出来が良かった際に自慢するときに使った「手前の味噌」に由来すると言われています。各地の農産物で作られ、その地の気候にあった作り方をしていた為、様々なお味噌があります。旅行先のお味噌汁の味が馴染みのない味だったり、結婚して互いのお味噌汁の味が違ったりという経験はありませんか?
今回はお味噌の歴史や効果・製法などに触れながら各地のお味噌についてお話します。
Contents
お味噌の歴史
その歴史を遡ると中国から伝来した説と日本起源であるという2つの説があると言われています。
中国伝来説
「醤油も発酵食品!お買い物時の醤油の選び方」のコラムにも記載した「醤(ひしお)」が古代中国より飛鳥時代に遣唐使によって伝わりその後日本独自の製法で味噌になったといわれています。
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日本起源説
縄文時代の生活跡からどんぐりを原料とした「縄文味噌」と呼ばれる食品が見つかっています。また穀物を塩蔵する技術も縄文・弥生時代にかけてあったと考えられており、そこから現在の味噌になったと言われています。
中国伝来説にしても日本起源説にしても、お味噌の歴史はとても古く、私たちの生活に昔から深く根付いているといえます。
お味噌の効果
基本的なお味噌の原料は大豆、麹、塩です。この大豆はたんぱく質、脂質、糖分、ビタミン、ミネラルなど栄養が豊富です。アミノ酸も多く含まれています。戦国時代には戦国武将たちがたんぱく源としてまた栄養食として、必ず戦場にお味噌を持ち込んでいたほどです。
上記の効果以外にも便秘解消やがん予防についても効果があると言われています。
お味噌の造り方
お味噌の製法は天然醸造方式と速醸方式大きく2つに分かれます。
天然醸造方式
冬の寒い時期に仕込み、春夏秋と1年かけて熟成させる方法です。水に浸した大豆を蒸し/茹でて柔らかくしてつぶします。そこに米麹と塩を加えて混ぜ合わせます。よく混ざり合ったら大豆のゆで汁や水を加えてかたさを調整します。
この後、樽に空気が入らないようにしっかりと抑え込みながら詰め、じっくり発酵・熟成させて完成です。
速醸方式
材料をすべて仕込んでから酵母を添加したり、温度管理された発酵室で発酵を促したりして、発酵・熟成の過程を人工的に早めて完成までの日数を短くする方法です。人工的に早めているため、風味を補うために調味料を添加していたり、着色されていたりします。
お味噌の種類
麹による分類
日本各地で使用されているお味噌は大きく分けて米味噌、麦味噌、豆味噌の3つあります。これらの違いは麹の種類です。
米味噌
大豆、米麹、塩を混ぜて発酵・熟成させた味噌。一般的なお味噌で国内生産量の約8割を占めます。関東以北では赤味噌系で更に東北や北海道では辛口系が好まれます。仙台味噌、信州味噌が代表的なものとしてあります。関西では白味噌系が好まれます。白味噌は米麹の量が多く甘みが強いものです。
麦味噌
大豆、麦麹、塩を混ぜて発酵・熟成させた味噌。別名「田舎味噌」とも言われています。熟成期間が短いのが特徴です。まろやかな甘みと香りが特徴です。主に九州、四国、中国地方で好まれます。
豆味噌
蒸した大豆に直接麹菌を植え付けて豆麹を作り、塩を加えて発酵・熟成させた味噌。熟成期間が長く甘みは少ないのが特徴です。主に愛知県、三重県、岐阜県で好まれています。代表的なものに八丁味噌があります。
麹の種類による分類をご紹介しましたが、麹の種類以外にも味、色による分類もあります。
味による分類
甘味噌・甘口味噌・辛口味噌に分けられます。仕込む際の塩分量の違いと麹の量の違い「麹歩合」によるものです。塩分量が一定であれば麹歩合が高い方が甘口です。
色による分類
赤系味噌、単色系味噌、白味噌に分けられます。原料となる大豆の種類の違い、煮る・蒸すの違い、麹の量、発酵過程の手技など様々な条件の違いによって色が変わります。
それぞれの分類を踏まえて各地のお味噌をまとめると以下の通りです。
同じお味噌でもこんなに種類があって、各地で様々なお味噌があるなんてとても面白いですよね。旅行先でお味噌汁を飲んでみたり、各地のスーパーのお味噌売り場を見て違いを感じたり、お料理によって使うお味噌を変えてみたりして色々楽しんでみては如何ですか?