香港女性は更年期で悩む人が少ないってホント?

香港女性は更年期で悩む人が少ないってホント?

 

你好(ネイホウ)!! 香港在住の薬剤師・国際中医師の林 三貴と申します。
香港在住10年、ちょっぴり香港テイストな東洋医学・養生関連情報をお届けできればと思います。

更年期は誰もが通る道ですが、更年期に様々な症状があっても大事には至らない香港女性。日本女性とは何が違うのでしょうか?

更年期イコール更年期障害ではない

女性の更年期は、閉経前後の10年間の期間を指します。40歳頃より卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌が減少するのですが、特に更年期は、女性ホルモン量がダイナミックに変動するので、ホルモンバランスが崩れやすく、調子を整えにくい時期であると言えます。

ただ、これは自然の摂理です。本来であれば、自然界に生きる人間は、この流れに即し対応できるはずなので、重大な疾患は起きにくいと考えられます。それなのに、なぜか負のイメージがつきまとうのが「更年期」です。

日本では「閉経」や「更年期」という言葉を口にしにくい時代が長かったせいか、更年期障害に対するヘルスリテラシーが低いように思います。

更年期に起きる不調は「更年期症状」で、日常生活に支障をきたすほど重いものが「更年期障害」であるということすら、あまり知られておらず、更年期には必ず更年期障害になると思い込んでいる方も少なくないのが現状です。今、健康であるのに「どうやって更年期を乗り越えればいいの?」と不安視されている方も多いです。

日本の更年期、香港の更年期

香港在住日本人を対象に、更年期対策の漢方講座を開催しておりますが、40歳前後の”プレ更年期”と呼ばれる世代からの参加者が1番多く、日本女性の更年期に対する関心の高さが伺えます。

このような日本女性の状況は、世界共通の認識と思いきや、香港女性にとっては意外な光景に映るようです。

香港の女性は「更年期だから」と意識することは少なく、更年期に起こるトラブルについても特別視はしないとのこと。更年期を振り返ってもらっても「その期間は、少しイラッとしやすかったかも」など、あっさりした回答ばかり。

更年期は誰もが通る道ですが、更年期に様々な症状があっても大事には至らない香港女性。日本女性とは何が違うのでしょうか?
最近の日本の専門家によると、更年期障害は、女性ホルモンレベルの低下などの生物学的要因だけでなく、性格や思考の癖ストレスなどの精神心理的因子、そして食や生活習慣などの環境因子が重なり合い、更年期の症状が更年期障害へと憎悪すると分析されているようで、いわば「ココロとカラダの問題」と捉えられています。

漢方でも「ココロとカラダのバランスがとれている状態が健康」と考えるので、両医学共に更年期障害への見解は似ていますね。

そして、香港女性にはそのバランスを乱さない要因があるのだろうと推測されます。

香港女性はこうして更年期を乗り切る

香港は「火」の都市。ストレートな物言いが強み

「自然、人間、社会など、万物は木、火、土、金、水の5つの基本要素から成り、ある一定の循環法則に従って変化している」
この考え方は、古代中国の自然哲学のひとつ「五行説」で、漢方にも取り入れられ応用されています。

香港は中国大陸の南方に位置し、亜熱帯気候の地域であるので、五行の属性が「火」の地域と考えられています。「火」とは炎のように光り輝き、熱く、燃え上がるなど、外向きのエネルギーで、5つの要素の中で、最もエネルギーが強いと考えます。季節では夏、方角は南、1日では正午、色は赤などが相当します。

火の土地で生活する香港人。人は取り巻く環境に影響を受けているので「火」の性質を持ち合わせていると言えます。せっかちで、個人主義はっきりとストレートにモノを言う香港人はまさに「火」の特徴そのものです。女性が強いのも有名で、自分の意見を主張するのは当たり前。
これらが更年期の憎悪因子である「ストレス」を溜め込まないという、ひとつ目の理由だと思います。

無意識でも意識高め!香港女性の日々の過ごし方

香港女性は、代々「体を冷やさないように」と教えられ、温かい飲み物やスープを摂る習慣を守り続けています。
また、
「未病と言われる、病気未満の不調(=グレーゾーン)の段階から手を打てば、カラダは整えやすい」
「未病には、まずは食べもので対応する」
という考えが根付いており、さらに食材のカラダに対する作用も伝え聞いているので、食事でカラダを整えることが、無意識のうちに可能なのです。

《親から子へ伝える香港の生活の知恵》

・習慣的に温かい飲み物やスープを摂る
未病からケアする
・まずは食べ物。食事でカラダを整える

体を冷やさないこと、そして未病の段階で食養生する。これら生活の知恵で健康なカラダを保ち続けているので、更年期というダイナミックな変動期も比較的楽に過ごすことができるというのが二つ目の理由だと思います。

悪循環を回避して人生の第2ステージを楽しむ

ストレスは交感神経を優勢にし、カラダを収縮し固くします。カラダが固くなると、気血の巡りは悪くなり、隅々までエネルギーが行き届きません。そこに冷えが加われば、ますますカラダがカチコチに固くなります。
精神心理的因子と環境因子による悪循環をうまく回避する術のある香港女性。
更年期障害に悩む方が少ないのも納得ですね。

ほとんどの動物には更年期がないと言われています。生殖機能を果たすと一生を終える動物が多い中、人間には閉経後も長い人生が残されています。

ここには意味があると思いませんか?

更年期というエネルギーシフトの期間をうまく乗り超え、人生の第2ステージをもっと楽しく、ポジティブに暮らすために、香港女性のマインドや生活を参考に、今のカラダの状態を整えてみるのも更年期の対策のひとつになるのではないかと思います。

 

この記事を書いた人

林三貴

薬剤師、国際中医師
おうち漢方@香港を主催
薬学部卒業後、製薬会社、調剤専門薬局を経て、現代医学にない漢方の世界観、自然哲学に魅せられ漢方専門薬局へ。2008年国際中医師免許を取得する。 主に婦人科系疾患を担当し、女性の悩みに耳を傾け症状改善を手がける。 2012年香港に移住。現地で漢方カウンセリング、漢方レッスンを開講する。 漢方養生茶、よもぎ蒸し、経絡トリートメントを取り入れた漢方カウンセリングでは、現代医学、現代栄養学の見解も併せ、養生法を提案。現地日本人の健康サポートを行う。 オンラインでのカウンセリングも実施しており、香港のみならず日本の方にも、本場香港からの漢方の智慧をお届けできればと思っている。

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